ツール概要
録音 → 文字起こし → 生成AIで下書き → 人が検証する、の4ステップで、ミーティングの議事録や引継ぎ資料をスマホ1台から作る方法を、具体的なアプリ名まで示して案内するガイドです。話された内容を「書かれた資産」に変えることで、会議の決定事項や先輩の暗黙知を、確実にチームに残せるようになります。
利用者・活用シーン
次のような問題意識を抱えている学生の方に役立ちます。
発表会・報告会の質疑応答やコメントを、漏らさず記録に残したい
ミーティングの決定事項と宿題(誰が・いつまでに・何をやるか)を毎回確実に残したい
引退・卒業する先輩の「頭の中」を、引継ぎ資料として次の代に渡したい
ツールレベル
初級
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ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提
前提・留意事項
はじめる前に、①録音の告知と了承(無断録音はしない)、②データの置き場所、③AIに入れてよい情報か、の3つを必ず確認してください(詳細はガイダンス内で説明しています)。
アプリの機能・対応状況は2026年7月時点のものです。
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■ 意義・特徴
地域と関わる活動では、打合せ、ヒアリング、報告会、引継ぎと、話す場面が次々に生まれます。ところが、そこで交わされた内容は、その場にいた人の記憶にしか残らないことがほとんどです。「誰が何をいつまでにやるのか」が曖昧なまま進み、次の代に引き継ぐ段になって、先輩の頭の中にあった判断の理由が失われてしまう。学生の活動では、メンバーが1年で入れ替わるため、この損失が特に大 きくなります。
現場では、次のようなことも起こりがちです。ひとつは、記録を作る時間がないために共有ができず、同じ質問を何度も繰り返してしまうこと。地域の方や自治体の担当者に同じことを聞き直すのは、相手の時間を奪うことでもあります。もうひとつは、記録を取りながら対話をする余裕がないこと。メモを取ることに気を取られると、相手の話を深く聞けず、その場で追加の質問を投げることもできません。
このツールは、録音から議事録・引継ぎ資料までを、スマートフォン1台と生成AIで作る手順をまとめたものです。特別な機材もソフトの購入も必要ありません。話された内容を「書かれた資産」に変えることで、決まったことをチームで確実に共有し、経験を次の代へ渡せるようになります。何より、記録を機械に任せることで、その場では対話に集中できるようになります。
全体は「録音する → 文字起こし → 生成AIで下書き → 人が検証する」の4ステップです。このうち最後の「人が検証する」を省かないことが、このツールの要になります。AIの下書きは「よくできた仮」であり、数値・固有名詞・担当と期限は、必ず原資料と突き合わせて人が確定します。
■ 使い方
(4つのステップ)
第1に、録音します。スマートフォンは机の中央、発言者から1m以内に置きます。冒頭で「日付・会議名・参加者」を声に出して読み上げておくと、その情報がそのまま議事録の基本情報になります。長い会議は45〜60分を目安に区切ります。
第2に、文字起こしをします。iPhone(標準のボイスメモ)、Android(Pixel・Galaxy等の標準機能)、オンライン会議(Zoom・Teamsのレコーディングとトランスクリプト)、録音ファイルだけがある場合、の4つのルートがあり、それぞれの手順はガイダンス資料で案内しています。
第3に、生成AIで下書きを作ります。プロンプトには「文字起こしにない情報は推測しない」という一文を必ず入れます。用途によって適した形が違うため、議事録型・要点メモ型・引継ぎ資料型の3つの型を使い分けます。型ごとのプロンプトは「ワークシート/詳細説明」に収録しています。
第4に、人が検証します。数値、固有名詞、担当と期限、決定事項と意見の区別、反対意見の温度感、この5点を原資料と照らして確認します。共有してよい内容かどうかも、この段階で判断します。
(はじめる前の3つの確認)
録音の告知と了承をとること。無断で録音はしません。冒頭に「記録のため録音します」と一言添えます。
データの置き場所を決めること。録音と文字起こしは、チームで決めた場所に保存し、個人の端末に残しません。
AIに入れてよい情報かを確認すること。個人情報や未公開の情報が含まれる場合は、入力してよいかを先に確かめます。
(利用教材) ※「ダウンロード」資料参照
ガイダンスは、活動のメンバーに配る参加者向けの資料です。4つのステップの具体的な手順を、アプリ名まで示して案内しています。
ワークシート/詳細説明は、実際に会議録をつくるときに手元に置く資料です。会議録に書くべき項目(タイトル・日時・場所・参加者・決定事項・宿題など)のテンプレートと、用途別のプロンプト、検証のチェックリストを収録しています。
■ 実績・有用性
本ガイドの手順は、大学の授業やプロジェクトの現場で、打合せの記録、報告会の質疑の記録、引継ぎ資料の作成に用いられています。特に効果が大きいのは、次の3つの場面です。
・発表会や報告会:質疑応答やコメントは、その場では聞き流されがちですが、あとから見返すと改善のヒントが詰まっています
・定例のミーティング:決定事項と宿題を毎回書き出すことで、「言った・言わない」が起きなくなり、次回の冒頭で前回の宿題を確認できるようになります
・引継ぎ:手元の資料をAIに渡して下書きと質問リストを作らせ、資料に載っていないことだけを先輩に口頭で答えてもらう。この手順を使うと、これまで属人的だった引継ぎが、半日程度の作業で形になります
■ 次のステップ
(記録を活動の資産にする)
会議録が溜まってきたら、チームの共有フォルダに時系列で並べ、年度の切り替わりに一度読み返してみてください。決定の経緯が追える状態になっていれば、それ自体が次の代への引継ぎ資料になります。
あわせて、固有名詞や専門用語の「用語リスト」を作って育てていくと、文字起こしの誤変換が減り、作業がどんどん軽くなります。
(参考文献とその概要)
本ガイドで扱うのは、あくまで簡易な自動生成です。より本格的な議事録運用や、AI利用のルールづくりに関心がある場合は、所属する大学や連携先の自治体が定めている生成AIの利用方針を確認したうえで進めてください。
■ 用語解説
文字起こし(トランスクリプト):音声を文字データに変換すること。スマートフォンの標準機能やオンライン会議ツールの機能で作成できます。
プロン プト:生成AIへの指示文。何を、どんな形式で、どこまでやってよいかを書きます。本ガイドでは「文字起こしにない情報は推測しない」という制約を必ず含めます。
ハルシネーション:AIが、元の資料にない情報をもっともらしく作り出してしまうこと。プロンプトでの制約と、人による検証の両方で防ぎます。
実績
APU授業科目「専門実習」で利用
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著作者・連絡先
狩野英司(一般社団法人行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授)
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掲載年月日
2026年7月
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