ツール概要
チームのタスクを1件1枚のカードにして、To Do/In Progress/Doneの3列に貼り出す進捗管理の道具です。全作業の状態が誰にでも見える「透明化」により、作業の重複や放置が減り、進捗を尋ねたり報告したりするやりとりの多くが不要になります。壁と付箋でも、Miroでも数分で始められます。
利用者・活用シーン
日々の作業の分担と進捗の共有
定例打合せでの進捗確認
本番前の追い込みのタスク管理
ツールレベル
初級
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ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提
前提・留意事項
ホワイトボードと付箋、またはMiro(一定の範囲まで無料)があれば始められます。特別な知識は不要です。ボードは、全員が毎回の打合せで見られる場所に置いてください。
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■ 意義・特徴
地域と関わる活動では、進捗の管理があいまいになりがちです。誰が何をどこまでやったのかは、聞けばわかるけれど、聞かないとわからない。かといって、進捗表を作ってきちんと管理しようとすると、今度は表の更新そのものが仕事になり、日々の活動と並行して続けるには荷が重くなります。
管理があいまいなままだと、同じ作業に2人が別々に手を付けてしまったり、誰も手を付けていない作業が本番の直前に見つかったり、「やってます」という返事のまま実際には止まっている作業に 誰も気づけなかったりします。
カンバンボードは、この「あいまいだと事故が起きる、厳密にやると続かない」の間を突く、非常に簡易な進捗管理の道具です。タスクを1枚ずつのカードにして、To Do(これからやる)/In Progress(進行中)/Done(完了)の3列に貼り出す。やることはそれだけです。キーワードは透明化・オープン・情報共有。すべての作業の状態が誰にでも見えるオープンな板が1枚あるだけで、進捗を尋ねたり報告したりするやりとりの多くが不要になります。
道具は、壁と付箋でも、Miroなどのオンラインホワイトボードでも構いません。準備は数分で終わります。
■ 使い方
(こんな場面で使います)
このツールを使うのは、活動の実行段階です。日々の作業の分担、定例打合せでの進捗確認、本番前の追い込みで力を発揮します。チームの全員が同じ板を見て、自分のカードを自分で動かします。
道具は、壁(ホワイトボード)と付箋、またはMiroなどのオンラインホワイトボードをおすすめします。メンバーが同じ場所に集まりにくいチームにはオンラインが便利です。PowerPointなどのスライド上での管理は、タスクが増えるとカードの操作が煩雑になるため、おすすめしません。
(ボードの作り方)
列を3つ作ります。To Do(これからやる)/In Progress(進行中)/Done(完了)です。タスクは1件につきカード1枚とし、カードには「誰が・何を・いつまでに」を書きます。
カードを作業の種類ごと、または担当者ごとに色分けすると、仕事の偏りがひと目でわかるようになります。
(運用の3つのルール)
・カードを動かすのは担当者本人:自分の作業の状態は自分で更新します。人のカードを勝手に動かさないことが、ボードへの信頼につながります
・定例打合せの都度、更新する:打合せの冒頭に全員で自分のカードを動かし、そのままボードを見ながら進捗を確認します。更新を「会議とセット」にすると無理なく続き、報告を聞く時間が対策を相談する時間に変わります
・進行中を絞る:In Progressに置くカードは1人1〜2枚までにします。あれもこれも「進行中」にすると、実際にはどれも進みません
(コラム:オンラ インホワイトボード「Miro」)
Miroは、広い作業スペースを複数人で同時に編集できるオンラインホワイトボードで、一定の範囲までは無料で使えます。ボードに3本の線を引いて列を作り、付箋を置けば、カンバンボードはすぐに始められます。
ボードの共有リンクをメンバーに配れば、離れた場所からでも全員が同じ板を見られます。授業(プロジェクト管理特論)でも、各チームがMiro上のボードで課題制作の進捗を共有しています。
(利用教材) ※「ダウンロード」資料参照
ガイダンス(「カンバンボード ガイダンス」)は、活動のメンバーに配る参加者向けの資料です。ボードの作り方から運用の3つのルールまでをスライド形式で案内しています。
ワークシート/詳細説明(「カンバンボード ワークシート」)には、ボードの立ち上げ手順(壁で作る場合/Miroで作る場合)、カードの書き方の見本、そして運用のチェックリストを収録しています。
■ 実績・有用性
カンバンボードは、トヨタ生産方式の「かんばん」を源流に、ソフトウェア開発のアジャイル手法を経て、いまでは業種を問わずチームのタスク管理の定番になっている手法です。PMI(米国のプロジェクトマネジメント協会)のアジャイル入門教材でも、チーム運営の基本ツールとして紹介されています。
本ガイドの内容は、APUの授業科目「専門実習」「プロジェクト管理特論」で利用されています。プロジェクト管理特論では、各チームがMiro上にボードを設けて課題制作の進捗を共有し、専門実習では地域連携プロ ジェクトの日々のタスク管理に使われています。作業の状態がオープンになることで重複と放置が減り、打合せが「報告の場」から「相談の場」に変わります。
■ 次のステップ
(列を育てる)
慣れてきたら、左端にBacklog(いつかやる)の列を足してみてください。思いついたタスクをまずBacklogに貯めておき、着手を決めたものだけをTo Doに移す4列の運用です。授業(プロジェクト管理特論)でも、このBacklog付きの4列で運用しています。ほかにも「確認待ち」の列を足すなど、列はチームの実情に合わせて育てられます。
(ほかのガイドとつなぐ)
活動の計画づくりに実践ガイド「ネットワークダイヤグラム」を使っている場合は、そこで書き出したタスクの一覧(担当・期限つき)を、そのままTo Do列のカードにできます。また、活動の節目にDone列に溜まったカードを眺めながらふりかえり(実践ガイド「プロジェクトにおける「ふりかえり」法」)を行うと、完了カードの束がそのまま活動の記録になり、次の代への引継資料の素材になります。
■ 用語解説
・カンバンボード:タスクをカードにして、状態別の列(To Do/In Progress/Done)で管理する板。全作業の状態が誰にでも見える「透明化」が本質です
・In Progress(進行中):着手済みで完了していない作業。ここに置く枚数を絞るほど、作業の流れは速くなります
・Backlog:「いつかやる」タスクの置き場。思いついたことをまず貯めておく列で、慣れてきたら左端に追加します
・スクラムボード:カンバンボードとほぼ同じ意味で使われる呼び名。アジャイル開発の「スクラム」に由来し、授業の教材ではこちらの名称を使っています
実績
APU授業科目「専門実習」「プロジェクト管理特論」で利用
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著作者・連絡先
狩野英司(行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授)
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掲載年月日
2026年8月
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