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ゴールから逆算する段取りづくり

ネットワークダイヤグラム

編著者:

立命館アジア太平洋大学 狩野英司

ネットワークダイヤグラム

ツール概要

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地域活動の段取りを、最終成果物(ゴール)から逆算して1枚の図に整理する手法です。先の工程まで見通すことで、予見できるタスクの見落としや、締切間際の「間に合わない」を防ぎます。並行作業の分岐がそのまま役割分担になり、本番日から各作業の締切が決まります。

利用者・活用シーン

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  1. これから地域活動を始めるチームの、最初の計画づくり

  2. 中間報告や本番前の、活動計画の見直し

  3. 次の代へ段取りを引き継ぐ、引継資料づくり

ツールレベル

初級

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ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提

前提・留意事項

特別な準備は必要ありません。付箋とホワイトボードでも、PowerPointやMiroでも始められます。生成AIに叩き台を作らせる場合は、個人情報や未公開の情報を入力しないことだけ確認してください。

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■ 意義・特徴


地域と関わる活動は、取材のアポ、備品の調達、告知、当日の運営と、多くの作業の積み重ねで成り立っています。その大半は、活動を始める前から予見できるものです。ところが、頭の中だけで段取りを組むと、見えているはずの作業が抜け落ち、本番の直前になって「あれをやっていなかった」が噴き出します。


 抜け落ちには型があります。ひとつは、並行してできるはずの作業を1本の列に並べてしまい、人手と時間の見積りを誤ること。もうひとつは、取材や許可取りなど相手の都合で止まる工程を軽く見て、断られた場合の備えを用意していないことです。


 このツールは、最終的な成果物(出口)から遡って、必要な成果物とタスクを漏れなく洗い出し、順序と依存関係を1枚の図に整理する手法です。図の中では[成果物]=完成させるものと、(タスク)=作業を区別して書きます。思いついた順ではなく「完成に必要なもの」を基準に洗い出すため、予見できるタスクの見落としを防げます。


 全体は「出口を決める → 遡って洗い出す → 期限を書き込む → タスクを書き出す」の4ステップです。叩き台は生成AIに作らせても構いませんが、工程の妥当性は必ず自分たちで検証します。AIの下書きは「よくできた仮」であり、自分たちの現場に合っているかを確定するのは人の仕事です。


■ 使い方


(こんな場面で使います)


このツールを使うのは、活動の計画を立てる場面です。チームで活動を始めるとき、中間報告や本番を前に計画を見直すとき、そして次の代へ段取りを引き継ぐときに、チーム全員で作成します。代表者が下書きを作り、全員で検証する形でも構いません。


 道具は、付箋とホワイトボード、Miro(オンラインホワイトボード)、PowerPointなど、箱と矢印が描ければ何でも使えます。PowerPointで作る場合のひな形を、ワークシート/詳細説明(「ネットワークダイヤグラム ワークシート」)に用意しています。


(4つのステップ)


第1に、出口を決めます。この活動が終わったときに何が残っていれば完了なのか、最終成果物を1つに定めます。「イベントをやる」ではなく「改善版のツアープラン」「完成した動画と視聴データ」のように、形の残るものの名前で書くのがコツです。


 第2に、遡って洗い出します。最終成果物から出発して、その手前にある中間成果物、それを作るためのタスク、先にやらないと進められないタスク、並行して進められるタスク、当日や公開後に必要なタスク、の順にたどっていきます。並行できる作業は遠慮なく枝分かれさせてください。分岐は役割分担の設計図になります。


 第3に、期限を書き込みます。中間報告や本番日などのマイルストーンから逆算して、各ノードに日付を入れます。ここで初めて「思ったより時間がない」ことが目に見えます。


 第4に、タスクを書き出します。図の中の(タスク)を一覧にして、担当と期限を添えます。この一覧が、日々の進み具合を管理するカンバンボードへの入力になります。


(生成AIに叩き台を作らせるとき)


活動のテーマと最終成果物を伝えれば、生成AIは数分で叩き台を出してくれます。プロンプトには「工程を推測で増やさない」「判断できない箇所は【要確認】と書く」という制約を必ず入れます。


 出てきた叩き台は、そのまま使わずにチームで検証します。検証の観点は、ワークシート/詳細説明の検証チェックリストにまとめています。


(利用教材) ※「ダウンロード」資料参照


ガイダンス(「ネットワークダイヤグラム ガイダンス」)は、活動のメンバーに配る参加者向けの資料です。手法の定義から4つのステップ、完成イメージ、生成AIのプロンプト例までをスライド形式で案内しています。


 ワークシート/詳細説明(「ネットワークダイヤグラム ワークシート」)は、PowerPoint形式のひな形集です。典型的な3タイプの活動(動画制作/イベント開催/ツアー企画)について、典型的な作業をあらかじめ書き込んだ編集可能なひな形を収録し、白紙のひな形と検証チェックリストを添えています。


■ 実績・有用性


ネットワークダイヤグラムは、PMBOK(プロジェクトマネジメントの国際的な知識体系)にも収載されている工程管理の基本手法で、企業のプロジェクト管理はもとより、大学のプロジェクト型学習(PBL)やプロジェクトマネジメント教育の題材として広く使われています。


 本ガイドの簡易版は、APUの授業科目「専門実習」で、地域と連携する各チームの活動計画づくりに利用されています。テーマの異なる複数のチームがそれぞれの段取りを1枚の図にまとめ、教員の添削を通じて、計画の抜け漏れや無理のある工程を本番前に解消できました。完成した図は、中間報告の資料や、次の代への引継資料としてもそのまま活用されています。


■ 次のステップ


(カンバンボードで日々の管理へ)


図が完成したら、(タスク)の一覧をカンバンボード(To Do/In Progress/Doneの3列でタスクを管理する表)に写し、日々の進み具合の管理に使います。ネットワークダイヤグラムが「全体の地図」、カンバンボードが「今日の作業表」という関係です。週に1回、図とボードを見比べて、遅れている枝がないかを確認すると効果的です。カンバンボードの使い方は、別の実践ガイドで取り上げる予定です。


(より本格的な工程管理へ)


慣れてきたら、作業を階層的に分解するWBS、日程を横棒で表すガントチャート、遅らせられない経路を特定するクリティカルパス法など、本格的な工程管理の手法に進むことができます。考え方の骨格は本ガイドと同じです。関心があれば、プロジェクトマネジメントの入門書にあたってみてください。


■ 用語解説


・ネットワークダイヤグラム:成果物とタスクのつながり(順序・依存関係)を矢印で整理した図。本ガイドでは最終成果物から逆算して作ります


・成果物とタスク:[成果物]は完成させるもの(ツアープラン、動画、報告書など)、(タスク)はそれを作るための作業。区別して書くことで「作業はしたが何も残っていない」状態を防ぎます


・マイルストーン:動かせない節目の日付(中間報告、本番日など)。期限はここから逆算します


・カンバンボード:タスクをTo Do/In Progress/Doneの3列で管理する表。図から日々の作業に落とすときに使います

実績

APU授業科目「専門実習」で利用

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著作者・連絡先

狩野英司(行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授)

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掲載年月日

2026年8月

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本ガイドおよびダウンロード資料は、「キャンパス・ツールボックス ご利用条件」に準拠してご利用ください。

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