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2026年8月

立命館アジア太平洋大学(APU)

2025年10月〜2026年1月

プロジェクト期間:

遊びで越える、ことばの壁 ― 放課後児童クラブの英語授業『英語GO!』

編著者:

キャンパス・ツールボックス編集部+英語GO!

遊びで越える、ことばの壁 ― 放課後児童クラブの英語授業『英語GO!』

発表資料の表紙から

大分県日出町の放課後児童クラブで、留学生を含む学生チーム「英語GO!」が、ゲームを取り入れた英語の授業を3回開催。「英語はこわくない」という想いを込め、遊びを通じて子どもたちが英語にふれる機会をつくった。回を重ねるごとに子どもたちの声は大きくなり、英語での挨拶が自然に飛び出すようになった。

タグ:

教育・文化・交流  大分県日出町  官学連携

背景・課題

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日出町の子どもたちは、学校の授業以外で英語を使う機会が限られており、英語学習は教科書中心で、話す練習の場が少ない。日本・ミャンマー・タイ・モンゴル出身の学生4人のチームは、この状況を課題と捉える一方、英語を学びたいというニーズがあることも知った。そこで、自分たちが子どもたちのところへ出向き、遊びを通じて楽しく英語にふれてもらう授業を自分たちで企画・実施することを発案した。

課題解決アプローチ

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・役場を「橋渡し役」にした連携づくり:最初に紹介された候補先とは目指す方向が合わなかったが、あきらめずに役場の担当の方へ再度相談し、放課後児童クラブの先生を紹介してもらった。連携先探しを役場との対話で進めたことが、実現の決め手になった。

・「教える」より「楽しむ」を優先した授業設計:文法指導ではなく、フルーツバスケット・宝探し・ピンポンゲームなどの遊びに英単語を組み込み、シールやお菓子のご褒美で参加意欲を引き出した。

・子どもの実際のレベルに合わせた軌道修正:初回で子どもたちの英語レベルが想定より基礎的だと気づき、語彙数を絞り、ゲームの比重を増やす方向へ毎回計画を作り直した。

生み出した成果

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・3回の授業を通じて、子どもたちは色・果物・動物・身の回りの物・学校に関する英単語を認識し、発音できるようになった。

・回を重ねるごとに子どもたちの自信が高まり、内気な子も3回目には大きな声で英語を話し始めた。「おはようございます」「ありがとう」「さようなら」にあたる挨拶を、英語で自主的に言うようになった。

・活動の締めくくりに日出町役場との振り返りの場を持ち、学生ボランティアによる英語授業のプログラム化を町へ提案した。

行政・地域の応援

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行政の応援:日出町役場の担当の方が連携先探しの相談に応じ、放課後児童クラブへの橋渡しをした。活動開始時のキックオフミーティングと終了時の振り返りミーティングを役場とともに実施し、町として取組を認知・応援した。 地域の協力:とよおか児童クラブ(日出町豊岡)が活動の場を提供し、先生・スタッフが各回の授業運営を支えた。

取組のストーリー
遊びで越える、ことばの壁 ― 放課後児童クラブの英語授業『英語GO!』

立命館アジア太平洋大学(APU)のサステイナビリティ観光学部では、地域の現場での実習を重視しており、その一環として、日出町役場と2023年度から継続して、学生主導での課題解決プロジェクト(専門実習)を実施しています。本稿は、その2025年度のプロジェクトの一つ、英語教育チーム『英語GO!』の取り組みの記録です。


目次


  1. きっかけ ― 子どもたちに英語との出会いを

  2. 連携先探し ― 一度目の空振りと、役場への再相談

  3. 3回の授業 ― 遊びの中に英語を埋め込む

  4. うまくいかなかったこと ― 「教える」を手放す

  5. 得られた学び

  6. これから


1 きっかけ ― 子どもたちに英語との出会いを


「英語GO!」は、日本・ミャンマー・タイ・モンゴル出身の学生4人からなるチームである。メンバー自身が言葉の壁を越えて日本で学んでいるからこそ、「英語はこわくない。自信を持って話してみてほしい」という想いがあった。

 日出町の子どもたちは、学校の授業以外で英語にふれる機会が限られている。英語学習は教科書が中心で、声に出して使ってみる場は少ない。一方で、英語を学びたいというニーズがあることも分かってきた。そこでチームは、子どもたちが英語に圧倒されることなく、遊びを通じて楽しく学べる授業を、自分たちで届けることにした。


2 連携先探し ― 一度目の空振りと、役場への再相談


最初の壁は、活動場所の確保だった。町のキックオフミーティングで出会った役場の担当の方から、英語指導の経験がある方を紹介してもらい面談したが、互いの目指す方向が合わないことが分かった。ここで立ち止まらず、もう一度役場の担当の方に相談したところ、放課後児童クラブの先生を紹介してもらうことができた。

 その後の連絡調整は、日本語を話せるメンバーが窓口となり、LINEで先生と日程や授業計画のやりとりを重ねた。2025年12月8日には施設を訪問し、子どもたちの様子や教室の環境を実際に見て、計画を具体化していった。


3 3回の授業 ― 遊びの中に英語を埋め込む


授業は「英単語の学習→単語を使ったゲーム→復習」という流れを基本形とし、3回のテーマと遊びを毎回入れ替えた。


日付

単語のテーマ

メインの遊び

第1回

2025年12月20日

動物・色・果物(15語)

フルーツバスケット

第2回

2026年1月10日

日常の物(タオル・花・靴下など10語)

宝探し

第3回

2026年1月17日

学校の物(20語)

自己紹介ゲーム・ピンポンゲーム


第1回は、イラストカードと黒板を使って発音練習をした後、フルーツバスケットへ。子どもたち一人ひとりに単語のステッカーを貼り、呼ばれた単語の子が席を移動する。最終ラウンドは「赤+犬」のように2語を組み合わせ、覚えた語彙を総動員する仕掛けにした。

英単語のフルーツバスケット(第1回)
英単語のフルーツバスケット(第1回)

第2回は、タオルや花などの現物を使って単語を学んだ後、教室に隠した品物を探し、見つけたら英語で名前を言う宝探し。言えた子にはお菓子のご褒美を渡した。

第2回で使った身近な現物の教材
第2回で使った身近な現物の教材
英単語の宝探し(第2回)
英単語の宝探し(第2回)

第3回は、「私の好きな動物は」「私の好きな色は」と、習った単語を使って発表する自己紹介ゲームから始め、カップの底に単語を書いたピンポンゲームで締めくくった。ボールが入ったカップの単語を言えたらシール、最後は全員にお菓子を配り、誰も置き去りにしない設計とした。

 なお、教材の印刷やご褒美のお菓子にかかる費用は、助成金等に頼らず自分たちでまかなった。手元の道具と身近な遊びを組み合わせた、小さく始められる授業である。


4 うまくいかなかったこと ― 「教える」を手放す


計画どおりに進まないことも多かった。第2回では約15語を教えてから宝探しをする計画だったが、子どもたちには難しい単語があり、語数を減らさざるを得なかった。第3回も、用意した複数のワークシートのうち1枚しか使えなかった。子どもたちの英語レベルは、事前の想定より基礎的だったのである。

 結果として、当初計画したほど多くの単語は教えられず、ゲーム中心の構成へと軸足を移すことになった。しかしこの「教えることを手放す」判断が、子どもたちが英語を嫌いにならずに楽しみ続けられた理由でもあった。

 また、体調不良で全員が揃わない回もあった。第1回・第2回は3人で運営し、4人全員が参加できたのは第3回のみ。全員が揃った回は場のエネルギーが明らかに違い、子どもたちも一層楽しんでいた。どんな気分の日でも、笑顔で、エネルギッシュに、リアクションを大きく。それが子どもたちの安心感と意欲に直結することを、身をもって学んだ。


5 得られた学び


実践の学びとして最も大きかったのは、「相手のレベルは、会う前に決めつけない」ことである。事前の想定は初回で覆り、実際の様子を観察してから計画を調整することで、最終回には子どもたちにとって心地よく楽しい学びの場をつくることができた。

 チーム運営の学びは、コミュニケーションと相互のリスペクトである。授業前の打合せはオンラインで重ねたが、全員の都合を合わせるのは難しく、欠席や遅刻が次回のゲーム進行の混乱につながることもあった。事情をオープンに説明し、互いの時間と状況を尊重することが、終盤のチームワークを支えた。

 また、立て替えた費用の記録と精算の取り決めを早い段階でしておくことの大切さも、実務的な学びとして残った。


6 これから


最終回の後、チームは日出町役場との振り返りの場で、この取組の手応えを報告した。子どもたちの英単語を覚える力と参加意欲は想像以上であり、APUの学生ボランティアが継続的に英語を教える枠組みをつくれないか ― それがチームから町への提案である。メンバーの振り返りには、次は中学生に英語を教えてみたいという声もあった。放課後の教室で生まれた小さな授業が、次の誰かに引き継がれることを期待したい。


後輩たちへのアドバイス

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・どこまでやるかを最初にチームで話し合うこと。提案止まりのチームも実施までいくチームもある。目指すゴールがずれたまま進むと、何も実施せずに終わるか、想定外の作業量に押しつぶされる。

・役割分担を決めること。特に外部との窓口は、丁寧で責任ある対応ができる人に任せる。締切管理係や、企画の質を上げる係も決めておくと進めやすい。ただし役割に縛られず、互いに助け合うこと。

・町を理解してから企画すること。「SNSが活用されていない」という思い込みで企画すると、すでに何度も取り組んできた役場の方々に失礼になりかねない。町の現状と、これまでの取組をまず知ること。

・住民の目線を尊重すること。学生が「課題」と見るもの(例:交通の便)が、住民には町の魅力かもしれない。課題探しだけでなく、町の良さを見つける姿勢が、住民にとっても自分たちにとっても良い経験につながる。

・まず実行してみること。半年で完璧な企画は不可能。やってみて初めて見える改善点があり、可能なら一度実施して振り返り、もう一度試すのがよい。

再利用できるナレッジ

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・役場の窓口は、学生の企画の「橋渡し役」になってくれる。最初の候補先と合わなくても、あきらめずに再相談すれば次の道が開ける。

・放課後児童クラブは、場所・参加者・見守りの大人が揃った活動の場である。ゼロから集客するイベントに比べ、少人数の学生でも実施しやすい。

・相手のレベルは会ってみるまで分からない。初回は「観察の回」と割り切り、2回目以降を調整する前提で計画すると、破綻しない。

・「遊び×ご褒美」の組み合わせは、低学年の参加意欲を引き出す強力な仕掛けである。単語のテーマを差し替えれば、英語以外の学びにも流用できる。

・場のエネルギーは人数で決まる。メンバーの体調管理も企画の一部と考え、欠員が出ても回せる役割設計をしておく。

関連コンテンツ

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取組者/編著者プロフィール


チーム『英語GO!』のメンバー
チーム『英語GO!』のメンバー

メンバー:谷早帆子(APU 2回生・当時)、KHET KHET MYAT(APU 3回生・当時)、SOAWAKHON PHANCHITA(APU 2回生・当時)、BATNOMIN NARANBAT(APU 2回生・当時)

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