ツール概要
届けたい相手を、名前や年齢まで持つ架空の1人(ペルソナ)として描き、その困りごとに応える価値(パッケージ)をあわせて1枚で設計する手法です。「みんなのため」で終わらせず、顔の見える相手に向けて企画の軸を固めます。人物像やイメージ画像は生成AIで作れます。
利用者・活用シーン
企画の立ち上げ期の「誰に届けるか」の絞り込み
企画を関係者に説明するとき
ジャーニーマップを描く前段として
ツールレベル
初級
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ツールレベルとは ・初級:特段の事前学習を要さず、本実践ガイドの学習のみで活用可能 ・中級:関連フレームワークについて別途研修等により学習済みであることが前提 ・上級:関連フレームワークをすでに実践済みであること、又は、個別の知識領域に関する高度な知見があることが前提
前提・留意事項
特別な準備は不要です。実在の相手への取材や観察から出発してください。生成AIで画像を作る場合は、実在の人物の写真を使わないこと、困りごとや価値の中身までAIに作らせないことに注意してください。
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■ 意義・特徴
地域の活動では、「誰のためのものか」を決めないまま、アイデアが先に走りがちです。「みんなのため」の企画は、結局誰にも刺さりません。動画を作っても、イベントを開いても、届けたい相手の顔が見えていないと、内容も告知も総花的になってしまいます。
もうひとつ起こりがちなのが、作り手の「やりたいこと」と、受け手の「困りごと」のずれです。自分たちが面白い と思うものが、相手の欲しいものとは限りません。
このツールは、届けたい相手を架空の1人の人物=ペルソナとして具体的に描き、その人の困りごとに応える価値のかたち=パッケージを、あわせて1枚で設計する手法です。ペルソナには名前・年齢・立場から「本人の声」までを与え、パッケージには名称・提供する価値・利用場面・主な内容を書きます。「誰に」と「何を」をセットで設計するので、企画の軸が1枚でつながります。
ペルソナの人物像やパッケージのイメージ画像は、生成AIに描かせることができます。ただし、中身(困りごとや価値)は取材や観察から自分たちで導くのが原則です。AIは表現の道具として使います。
■ 使い方
(こんな場面で使います)
このツールを使うのは、企画の立ち上げ期です。アイデアが出そろってきた段階で「誰に届けるか」を絞り込むとき、そして企画を関係者に説明するときに、チームで作ります。体験の流れを描くジャーニーマップ(実践ガイド「ジャーニーマップ基本編」)の前段としても使えます。
記入用のひな形を、ワークシート/詳細説明(「ペルソナ+パッケージデザイン ワークシート」)に用意しています。

(ペルソナを描く)
届けたい相手を、まず2人描きます。1人だと視野が狭くなり、最初から増やしすぎると焦点がぼやけるので、2人から始めるのがおすすめです(活動の広がりに応じて増やしても構いません)。項目は、名前/所属・立場/年齢/人となり/困りごと・ニーズ/背景・原因/本人の声、です。
コツは2つあります。第1に、想像だけで作らず、実在の人への取材や観察から出発すること。第2に、「本人の声」はその人が実際に口にしそうな一言で書くことです。声が入ると人物に体温が生まれ、チームの中で「あの人ならどう思うか」という共通の物差しになります。
(パッケージをデザインする)
ペルソナの困りごとに応える形で、届ける価値を設計します。項目は、名称/概要/提供する価値/利用場面/主な内容・機能、です。
書くときに意識するのは、ペルソナの「困りごと・ニーズ」に応える形で「提供する価値」を書くことです。この対応関係は、後述のチェックポイントであらためて点検します。
(生成AIの使いどころ)
ペルソナの人物像や、パッケージのイメージ画像は、生成AIで作れます。年齢・立場・雰囲気を伝えれば、チームで共有できるイメージが数分で得られます。実際、この様式を使った授業でも多くのチームがAIで画像を作っています。
注意は2つ。実在の人物の写真は使わないこと。そして、困りごとや価値の中身までAIに作らせないことです。中身は現場から、見た目はAIから、が使い分けの原則です。
(できたら、チェックと第三者レビュー)
書き上げたら、次の3つのチェックポイントで点検します。
・一貫性:1枚の中で人物像に矛盾がないか。そして、ペルソナの「困りごと・ニーズ」とパッケージの「提供する価値」が、シートをまたいで1本の線でつながっているか
・具体性:「観光に興味がある」のような一般論で止まっていないか。その人の行動や場面が目に浮かぶところまで書けているか
・明確性:年齢を「20代」のようなレンジで書いていないか。ペルソナは1人の人物なので、年齢はぴったり1つに決めます
そして最後に、チームの外の第三者(教員、先輩、活動の相手先など)に見せて、批判的なレビューを受けてください。ペルソナのいちばんの落とし穴は、イメージを描いたことで満足してしまうことです。「本当にこんな人がいるか」「この人は本当にこれを欲しがるか」という他人の目が、チームの思い込みを外してくれます。

(利用教材) ※「ダウンロード」資料参照
ガイダンス(「ペルソナ+パッケージデザイン ガイダンス」)は、活動のメンバーに配る参加者向けの資料です。作り方の手順と記入のコツ、生成AIのプロンプト例をスライド形式で案内しています。
ワークシート/詳細説明(「ペルソナ+パッケージデザイン ワークシート」)は、PowerPoint形式の記入ひな形です。ペルソナ2人分とパッケージの表に、記入例をあらかじめ書き込んであります。書き換えて使ってください。
■ 実績・有用性
ペルソナは、サービスデザインやマーケティングの分野で広く使われている 定番手法です。企業の商品企画から行政のサービス設計まで、「利用者起点で考える」ための出発点として用いられ、ジャーニーマップをはじめ、さまざまなフレームワークの土台(主人公)になります。本ガイドは、そのペルソナに「届ける価値の設計(パッケージ)」を組み合わせ、1枚で企画の軸を固められるようにした様式です。
この様式は、APUの授業科目「専門実習」で、地域と連携する各チームの企画づくりに使われています。各チームがペルソナ2人とパッケージを1枚にまとめ、多くのチームが人物像やイメージ画像の作成に生成AIを活用しました。「誰に届けるか」が定まることで、その後の段取りづくりや発信の内容が具体的になります。
■ 次のステップ
(体験の流れへ)
ペルソナが決まったら、その人が企画に出会い、利用し、満足するまでの体験の流れを、ジャーニーマップ(実践ガイド「ジャーニーマップ基本編」)で描いてみてください。ペルソナが「誰の話か」を定め、ジャーニーマップが「その人の体験の流れ」を描く、という役割分担です。
(現実に近づけていく)
ペルソナは、一度作って終わりではありません。取材やイベント本番で実際の相手の反応が得られたら、その学びでペルソナを書き直します。回を重ねるほど、架空の人物が現実の利用者に近づいていきます。
■ 用語解説
・ペルソナ:届けたい相手を、名前や年齢まで持つ架空の1人の人物として具体的に描いたもの。「みんな」ではなく「この人」に向けて考えるための 道具です
・パッケージデザイン:本ガイドでは商品の包装のことではなく、ペルソナに届ける価値のひとまとまり(名称・提供する価値・利用場面・内容)を1枚に設計したものを指します。この考え方は、インセプションデッキ(実践ガイド)の中でも使われています
・ニーズ:相手が求めていること。本人が自覚している困りごとの奥に隠れていることも多く、「背景・原因」の欄で掘り下げます
・本人の声:ペルソナが実際に口にしそうな一言。人物に体温を与え、チームの共通イメージをつくります
実績
APU授業科目「専門実習」で利用
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著作者・連絡先
狩野英司(行政情報システム研究所 主席研究員、立命館アジア太平洋大学 准教授)
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掲載年月日
2026年8月
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