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2026年7月

立命館アジア太平洋大学(APU)

2026年4月〜7月

プロジェクト期間:

マルシェを学びの場に ― 農家の思いを伝えるクイズ『ベジQ』

編著者:

キャンパス・ツールボックス編集部+ベジQ

マルシェを学びの場に ― 農家の思いを伝えるクイズ�『ベジQ』

2026年度の活動ハイライト

販売が中心のマルシェでは、生産者のこだわりが消費者に伝わりにくい。学生3名が有機農家を取材し、そのこだわりをクイズ『ベジQ』に翻訳して地域の食フェスに出展した。35名が参加し、満足度は5段階中4.6。当日の野菜の売上も例年を上回り、農園から冬の出展依頼を受けるまでになった。

タグ:

地域産業・農業  大分県日出町  官学連携

背景・課題

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・従来の農業教育(田植えや収穫体験)は「楽しかった」で終わりやすく、職業としての農業への関心につながりにくい ・日出町では18歳以上の住民のうち農林水産業に携わる人はわずか4%。担い手不足と耕作放棄地の増加が深刻化 ・地域のマルシェイベントは販売が中心となり、生産者のこだわりや思いを消費者に伝える機会がない

課題解決アプローチ

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・「売る場」に「知る場」を持ち込む:販売が中心のイベントの中に、参加して学べるコンテンツを持ち込んだ

・農家への直接取材をクイズにする:畑で聞いた話をもとに問題をつくり、景品には青井農園さんの野菜をご提供いただいた

・在庫ゼロ・パソコン1台の身軽な出店:物販と違って在庫を持たず、パソコン1台でコンテンツを提供した

生み出した成果

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・参加者35名、満足度は平均4.6/5(最高評価65.7%)

・65.7%が「有機農業について初めて知ったことがあった」。「甘みが強い理由が分かった」「これから有機野菜を選びたい」等の声

・当日の野菜の売上は69個(例年40〜50個)。青井農園さんから冬の「やさイート」への継続出展のお声がけ

行政・地域の応援

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行政の応援:日出町役場が出展機会(やさイートフェス2026)を提供し、事前の打合せから当日の運営まで協力。 地域の協力:青井農園(取材受け入れ・景品提供・冬の継続出展の声かけ)。 かかった費用:サンクスカードの印刷代(1,000円以内)のみ。在庫を持たず、パソコン1台でコンテンツを提供し、景品は青井農園にご提供いただいた。

取組のストーリー
マルシェを学びの場に ― 農家の思いを伝えるクイズ『ベジQ』

立命館アジア太平洋大学(APU)のサステイナビリティ観光学部では、地域の現場での実習を重視しており、その一環として、日出町役場と2023年度から継続して、学生主導での課題解決プロジェクト(専門実習)を実施しています。本稿は、その2026年度のプロジェクトの一つ、農業チーム『ベジQ』の取り組みの記録です。


目次


  1. 「楽しかった」で終わらせない

  2. 畑で聞いた話を、クイズに変える

  3. 当日―保育園児から大人まで

  4. 工夫した点

  5. 苦労した点・反省点

  6. 得られた学び

  7. 今後の展望


1 「楽しかった」で終わらせない


私たちのチームは、専門実習で日出町の地域課題に取り組む中で、農業に着目しました。田植えや収穫といった従来の農業体験は「楽しかった」という感想で終わりやすく、農業という仕事の具体的なイメージや関心にはつながりにくい。日出町では18歳以上の住民のうち農林水産業に携わる人はわずか4%で、担い手不足や耕作放棄地の増加が進んでいます。さらに、地域のマルシェイベントは販売が中心になるため、生産者のこだわりを伝えようとしても客足が流れてしまう―この2つの課題が重なるところに、「マルシェの場で、農業について楽しく知ってもらうコンテンツを作る」というテーマを定めました。

 テーマ設定では、できないことを早めに切り捨て、確実にできることに焦点を絞ったことが、その後の動きやすさにつながりました。


2 畑で聞いた話を、クイズに変える


2026年6月10日、ご夫婦で有機農業に取り組む青井農園さんを訪問し、農業への思いや工夫を直接伺いました。化学肥料に頼りすぎず、土の力や野菜本来の生命力を引き出すこと。健康に育った野菜は病気や害虫にも負けにくいこと。畑にも入らせていただき、クイズに使う写真を撮影しました。

 ここで聞いた話が、そのまま『ベジQ』の問題になっています。たとえば「日本で作られる野菜のうち、有機農業によるものは全体のどれくらい?」(答え:わずか0.39%)、「生で食べられる希少な『サラダかぼちゃ』のおいしさを守るための収穫の工夫は?」といった問題を、取材で聞いた内容と有機農業に関するデータをもとに作成しました。


実際のクイズ画面。有機農業はわずか0.39%
実際のクイズ画面。有機農業はわずか0.39%

青井農園さんでの取材の様子
青井農園さんでの取材の様子

 並行して、日出町役場との打合せで「やさイートフェス」当日の具体的なイメージを聞き、チーム内の役割分担を明確にして制作を進めました。ただし制作期間には余裕がなく、完成直前までクイズやデザインの修正が続いたため、事前に子どもに試してもらって改善する時間は確保できませんでした。


3 当日―保育園児から大人まで


6月28日のやさイートフェス2026では、青井農園さんに景品の野菜をご提供いただき、クイズを実施しました。参加者は35名。想定していた小学生〜中学生だけでなく、保育園児から大人まで幅広い年代の方が参加してくださいました。「有機野菜の甘みが強い理由が分かった」「高いけど食べてみたい」「これから有機野菜を選びたい」といった声を直接聞くことができ、アンケートでは65.7%の方が「初めて知ったことがあった」と回答。満足度は平均4.6でした。当日の野菜の売上は69個で、例年(40〜50個)を上回りました。

 一方、当日の運営はメンバー2名で、日出町役場のご担当の方に全面的にサポートしていただく形になりました。呼び込み、クイズの説明、アンケート回収、景品配布を同時にこなす必要があり、待ち時間が発生する場面も。運営人員は4名ほどいるのが理想だと感じました。


やさイートフェス2026にて。青井農園のみなさんと
やさイートフェス2026にて。青井農園のみなさんと

4 工夫した点


・販売ではなく「知ってもらうこと」に焦点を絞り、販売が中心の場に学びのコンテンツを持ち込んだ

・取材で聞いた話を軸に問題をつくり、景品には農園の野菜をご提供いただいた

・在庫を持たず、パソコン1台で提供できる形にした

・参加者に、青井農園のInstagramを記したサンクスカードを配布した


参加者に配布したカード。青井農園のInstagramを記載し、イベント後も農園とつながれるようにした
参加者に配布したカード。青井農園のInstagramを記載し、イベント後も農園とつながれるようにした

5 苦労した点・反省点


・対象年齢の想定が甘かった。小学生向け中心に作ったため、保育園児には難しく、大人には物足りない場面があった。年齢を限定せず、易しい問題から知識が要る問題まで幅を持たせるべきだった

・想像以上の来場者で対応が追いつかない時間帯があった。混雑時の動きや役割分担まで事前に設計しておくべきだった

・制作スケジュールの余裕がなく、実際に子どもに試して改善するテスト期間を取れなかった


6 得られた学び


学んだことを自分たちだけで終わらせず、相手に合わせて伝えることの大切さ。難しい説明よりも、体験と楽しさを通した発信が効果的であること。そして有機農業とは単に農薬や肥料を減らすことではなく、土や生き物との関係を考えながら自然の力を活かす営みだということ。

 何より、「地域のためになることをしたい」という思いが、課題として取り組むものではなく、自分自身の素直な気持ちとして芽生えたことが、この活動の一番大きな収穫でした。


7 今後の展望


青井農園さんからお声がけいただいた冬の「やさイート」への出展を予定しています。コンテンツは、より幅広い年齢層が楽しめる構成への改善や、動画・音声の組み込みなど、まだ工夫の余地があります。『ベジQ』は在庫を持たずパソコン1台で提供できるため、他の産品・他の地域でも応用できるはずです。

後輩たちへのアドバイス

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・自治体や地域の方の貴重な時間をいただいているという意識を持つこと。時間管理と連絡の基本を大切に ・打合せの前に「何を聞きたいのか」「何をお願いしたいのか」をチームで整理してから臨むこと。目的が明確だと信頼関係につながる ・メールのやり取りはテンポよく迅速に。共有物の期限は絶対に守る ・活動は計画どおりに進まない。状況と参加者の反応を見ながら柔軟に対応する力を持とう ・関わってくださるすべての方への感謝と敬意を忘れず、責任を持って、でも地域との交流を楽しみながら

再利用できるナレッジ

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・パソコン1台・在庫ゼロで成立する:物販と違って売れ残りのリスクがなく、パソコン1台でコンテンツを提供できる

・題材を差し替えれば、他の産品やテーマにも応用できる:問題文と写真を入れ替えることで、別の対象にも展開できる

・取材で聞いた話をもとに問題をつくる制作手順:生産者から直接聞いた内容が問題になるので、調べ物だけではつくれない中身になる

・景品を地域の産品にする:学びのコンテンツと地域の産品を結びつけることができる

・費用は印刷代のみ(1,000円以内):補助金や機材の準備がなくても始められる

取組者/編著者プロフィール

青井農園さんの畑でのベジQメンバー集合写真
青井農園さんの畑にて

メンバー:高山みなみ(APU 3回生)、久保井まほ(APU 1回生)、北怜子(APU 3回生)


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